嚥下障害
こんなお悩みはありませんか?
- 食べ物や飲み物を飲み込むときにむせることが増えてきた
- 食事中に食べ物が喉に詰まる感じがして、怖くなってきた
- 水やお茶を飲むと特にむせやすい
- 食後に痰がからんだり、喉に食べ物が残っている感じがする
- 高齢の親が食事中によくむせるようになった。誤嚥性肺炎が心配
- 子供が食事をうまく飲み込めず、食事に時間がかかる
- 脳梗塞や神経の病気になってから、飲み込みにくくなった
- 体重が減ってきた。食べるのがつらくて食事量が減っている
飲み込みにくさやむせは「年のせい」「気にしすぎ」と思われがちですが、放置すると誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)につながることがあります。特にご高齢の方やお子様の飲み込みの問題は、栄養や発達にも関わる重要なサインです。気になる症状があれば、早めに耳鼻咽喉科へご相談ください。
嚥下障害とは
嚥下障害(えんげしょうがい)とは、食べ物・飲み物・薬などを口から飲み込む「嚥下(えんげ)」の機能が低下または障害された状態のことです。健康な状態では、食べ物を口に入れて噛み、まとめて喉へ送り込み、食道を通って胃へ届けるという一連の動作が無意識のうちにスムーズに行われています。この複雑な連動動作のどこかに問題が生じると、むせ・喉への詰まり感・飲み込めないといった症状として現れます。
嚥下障害は高齢者に多い症状というイメージがありますが、実際にはお子様・成人・高齢者を問わず幅広い年齢層に起こりえます。原因も脳や神経の病気・喉や食道の構造的な異常・筋力の低下・口腔内の問題などさまざまで、原因によって治療のアプローチが大きく異なります。
特に注意が必要なのが「誤嚥(ごえん)」です。誤嚥とは、食べ物や飲み物が食道ではなく気管へ入ってしまうことです。むせることで気管への侵入を防ごうとする反応が起きますが、むせの反射が弱い方(特にご高齢の方)は気づかないうちに誤嚥が繰り返されることがあります。これを「不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)」といい、誤嚥性肺炎の原因として非常に重要視されています。
当院では、問診・喉頭内視鏡検査・嚥下内視鏡検査(VE)などをもとに嚥下機能を評価し、原因に応じた治療・リハビリ・専門医療機関へのご紹介を行っています。「飲み込みにくい」「むせが気になる」という場合は、まずご相談ください。

嚥下障害の主な症状
嚥下障害の症状は、「むせる・詰まる・飲み込めない」だけではなく、さまざまな形で現れることがあります。
むせ・咳き込み
食事中や食後に頻繁にむせたり、激しく咳き込んだりすることがあります。特に水やお茶などのさらさらした液体でむせやすい傾向があります。「固形物は食べられるのに、水を飲むとむせる」という場合は、嚥下機能の低下が始まっているサインであることがあります。
喉への詰まり感・残留感
食べ物を飲み込んだ後も「喉に何かが残っている感じ」「詰まった感じが続く」という訴えが見られることがあります。実際に食べ物が喉頭蓋や梨状窩(りじょうか)と呼ばれる部位にたまっていることがあり、そこから気管に流れ込んで誤嚥につながることがあります。
食事時間の延長・食欲の低下
飲み込みにくさから食事に時間がかかるようになったり、食べることへの不安から食事量が減ったりすることがあります。体重が減少している場合は、栄養状態の悪化が懸念されます。
声の変化・食後の痰の増加
嚥下障害があると、食事後に声がガラガラになる「湿性嗄声(しつせいさせい)」が現れることがあります。これは食べ物や飲み物が喉頭付近に残留しているサインのひとつとされています。また、食後に痰がからみやすくなることもあります。
誤嚥性肺炎の繰り返し
誤嚥が繰り返されると、口腔内の細菌を含む唾液や食べ物のかすが気管・肺に入り込み、誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。「原因不明の発熱が続く」「肺炎を繰り返している」という方は、嚥下障害が背景にある可能性があります。
嚥下障害の主な原因
脳・神経系の疾患
嚥下障害の原因として最も多いとされるのが、脳や神経系の病気です。脳梗塞・脳出血・パーキンソン病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)・認知症などにより、嚥下に関わる神経や筋肉の制御が障害されると、飲み込む機能が低下することがあります。「脳梗塞のあとから食事中にむせるようになった」という場合は、神経疾患に伴う嚥下障害が疑われます。
加齢による嚥下機能の低下
加齢とともに嚥下に関わる筋力・反射・唾液の分泌量が低下し、飲み込む力が弱まることがあります。「最近むせることが増えた」「食事に時間がかかるようになった」というご高齢の方の変化は、加齢性の嚥下機能低下のサインであることがあります。早めに嚥下機能を評価し、適切な対策を講じることが誤嚥性肺炎の予防につながります。
喉・食道の構造的な異常
咽頭がん・喉頭がん・食道がん・頸部の腫瘤・甲状腺の腫大などが喉や食道を物理的に圧迫・狭窄させることで、飲み込みにくさが生じることがあります。「飲み込みにくさが突然始まった」「だんだん悪化している」という場合は、構造的な問題がないか精査が必要なことがあります。
口腔・咽頭の炎症・手術後の影響
扁桃炎・咽頭炎・喉頭炎などの急性炎症による腫れが一時的に嚥下を妨げることがあります。また、頭頸部がんの手術や放射線治療の後遺症として嚥下障害が残ることがあります。
筋肉の病気・全身疾患
多発性筋炎・重症筋無力症・強皮症など、筋肉や結合組織に影響する疾患が嚥下障害を引き起こすことがあります。
子供の嚥下障害・お子様の食事の飲み込みが気になる親御さんへ
「うちの子は食事に時間がかかりすぎる」「よくむせる」「食べ物をうまく飲み込めていない」——こうした親御さんのご不安を当院でもお聞きすることがあります。

お子様の嚥下障害は大人とは異なる背景を持つことが多く、以下のような原因が考えられます。
- 口腔・咽頭の構造的な問題(口蓋裂・舌小帯短縮症など)
- 神経発達の遅れや脳性麻痺などに伴う嚥下機能の問題
- 扁桃やアデノイドの肥大による飲み込みにくさ
- 食物アレルギーに伴う好酸球性食道炎
お子様が以下のような様子を見せる場合は、一度耳鼻咽喉科にご相談されることをおすすめします。
- 食事のたびによくむせる、または食事中に顔色が変わることがある
- 食べ物を口の中でいつまでも噛み続けて飲み込めない
- 食事に30分以上かかることが常態化している
- 体重が月齢・年齢に比べて増えにくい
- 水分はとれるのに固形物を嫌がる、または固形物は食べられるのに水分でむせる
お子様の嚥下障害は、言語聴覚士(ST)によるリハビリが有効とされることがあります。当院では嚥下の状態を評価し、必要に応じて小児嚥下リハビリに対応できる専門医療機関へのご紹介を行います。
嚥下障害の治療・対応
治療の効果には個人差があります。以下はあくまで一般的な対応の流れです。
嚥下機能の評価
まず、嚥下のどの段階に問題があるかを正確に評価することが重要です。当院では喉頭内視鏡検査を行い、実際に食べ物を飲み込む際の咽頭・喉頭の動きを直接観察することがあります。
原因疾患の治療
嚥下障害の背景にある疾患(炎症・腫瘍・神経疾患など)が特定された場合は、その治療を優先します。炎症が原因であれば薬物療法、構造的な問題が原因であれば専門医への紹介を行います。
嚥下リハビリテーション
脳梗塞後遺症や加齢による嚥下機能低下に対しては、言語聴覚士(ST)による嚥下リハビリテーションが有効とされることがあります。嚥下に関わる筋力を鍛える訓練・安全に食べるための姿勢指導・食事形態の調整などが行われます。当院では嚥下リハビリに対応した専門医療機関・リハビリ施設へのご紹介を行います。
食事形態の調整・誤嚥予防の指導
嚥下障害の程度に応じて、食べやすい食事の形態(とろみをつける・刻む・ペースト状にするなど)をご提案することがあります。また、食事中の姿勢・食べるペース・一口の量など、誤嚥を防ぐための日常生活上の工夫についてもご説明します。
専門医療機関への紹介
嚥下障害の原因が神経疾患・悪性腫瘍・重篤な全身疾患にある場合や、精密検査・手術・集中的なリハビリが必要な場合は、連携する専門医療機関へ速やかにご紹介します。
誤嚥性肺炎の予防
誤嚥性肺炎を予防するためには、口腔内を清潔に保つこと(口腔ケア)が非常に重要です。口の中の細菌を減らすことで、誤嚥が起きたときの肺炎リスクを下げることができるとされています。毎食後の歯磨き・義歯の清掃・口腔体操なども誤嚥性肺炎の予防に役立つことがあります。
よくあるご質問
- はい、嚥下障害は耳鼻咽喉科が専門とする領域のひとつです。耳鼻咽喉科では喉頭内視鏡・嚥下内視鏡検査を用いて、実際に飲み込む動作を観察しながら嚥下機能を評価することができます。「むせが増えてきた」「食後に痰がからむ」「食事に時間がかかるようになった」というご家族の変化は、嚥下機能が低下しているサインであることがあります。早めに嚥下の状態を確認し、誤嚥性肺炎の予防につなげることが大切です。必要に応じてリハビリ専門施設や内科・神経内科へのご紹介も行いますので、まずはご相談ください。
- お子様のむせや飲み込みにくさは、一時的なものから嚥下機能の問題まで原因はさまざまです。成長とともに改善することもありますが、「食事のたびにむせる」「体重が増えにくい」「食事に極端に時間がかかる」という場合は、自然に治るのを待つだけでなく一度専門的に評価を受けることをおすすめします。嚥下障害を早期に発見し適切な対応を行うことで、栄養状態の改善や誤嚥の防止につながることがあります。扁桃・アデノイドの肥大が飲み込みにくさの原因になってることもあるため、耳鼻咽喉科での診察が適しています。
- 飲み込みにくさ・むせが主な症状の場合は、まず耳鼻咽喉科を受診されることをおすすめします。耳鼻咽喉科では喉・喉頭・食道入り口部の状態を内視鏡で詳しく確認でき、嚥下機能の評価も行うことができます。脳梗塞・パーキンソン病など神経疾患が疑われる場合や、食道そのものの問題が疑われる場合は、神経内科・消化器内科などへのご紹介も行います。「年だからしかたない」「気のせいかもしれない」と放置せず、気になる症状があれば早めにご相談ください。
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