耳垢栓塞

こんなお悩みはありませんか?

  • 耳の奥が詰まった感じが続いていて、なかなかすっきりしない
  • お子様の耳の中が黒っぽくて気になるが、ご自宅では取り切れない
  • 綿棒で耳掃除をしたら音が小さくなった、かえって奥に詰め込んだかもしれない
  • 耳かきをした後から急に聞こえにくくなった
  • 自分の声や食事中の咀嚼音が耳の中でやたら響く感じがある
  • お子様が「片方の耳がおかしい」「音が遠く聞こえる」と訴えている
  • プールや入浴後に耳が詰まった感じがして、そのまま改善しない
  • 補聴器を使っている家族の聞こえが急に悪くなった

耳垢栓塞とは

耳垢栓塞(じこうせんそく)とは、耳垢(みみあか)が外耳道(耳の入り口から鼓膜までの管)に大量にたまり、通路をほぼふさいでしまった状態です。外耳道がふさがれることで、耳の詰まり感・聞こえにくさ・耳鳴りといった症状が現れることがあります。

そもそも耳垢とは、外耳道の皮膚から分泌される皮脂・はがれた皮膚の細胞・ほこりや小さな異物などが混ざり合ってできたものです。「耳垢は汚いもの」と思われがちですが、実際には外耳道の皮膚を乾燥・雑菌・刺激から守る大切なバリアとして機能しています。

健康な耳には、食事や会話のときに顎を動かす動作を利用して耳垢が自然に外側へ押し出される「自浄作用」が備わっています。この仕組みが正常に働いている耳では、特別な耳掃除をしなくても耳垢が過度にたまることはありません。ところが、耳垢の性質・外耳道の形・加齢による皮膚の変化などによって、この自浄作用がうまく機能しなくなることがあります。

当院では、耳垢除去を含む耳の診察を日常的に行っており、乳幼児からご高齢の方まで幅広い患者様にご対応しています。「耳掃除だけで耳鼻科に行っていいの?」とためらわれている方も、どうぞ遠慮なくご来院ください。

耳垢栓塞の主な症状

耳垢はゆっくりと時間をかけてたまるため、外耳道がほぼふさがれるまで自覚症状がほとんどないことがあります。「先週まで何ともなかったのに、プールに入ったら急に聞こえにくくなった」という形で初めて異変に気づくケースも珍しくありません。これは、耳垢が水分を吸って膨らみ、一気に外耳道をふさいでしまうためです。

耳の詰まり感・閉塞感

「耳に膜が張ったような感じ」「奥に何かが詰まっているようで不快」という症状が続くことがあります。音の通り道が耳垢でふさがれているため、音のこもり・遠くから聞こえる感覚として感じられます。中耳炎と症状が似ているため、自己判断が難しいことがあります。

聞こえにくさ(難聴)

外耳道が耳垢でふさがれると、音が鼓膜に届きにくくなり、一時的に聴力が低下することがあります。「テレビの音を上げないと聞こえない」「話しかけても返事をしない」という変化に、周囲の方が先に気づくことも多くあります。耳垢を除去することで聴力が改善することがありますが、長期間放置すると外耳道の皮膚に炎症が生じることもあります。

自声強聴(じせいきょうちょう)

外耳道がふさがれると、自分が発した声や食べ物を噛む音(咀嚼音)が耳の中で大きく響くように感じることがあります。「食事中にボリボリという音が頭に響く」「話すたびに自分の声がうるさく聞こえる」という訴えは、耳垢栓塞に特徴的なサインのひとつです。この症状がある場合は、耳鼻咽喉科を受診されることをおすすめします。

耳鳴り

たまった耳垢が鼓膜に接触したり、圧力を与えたりすることで「ゴー」「ザー」という低い耳鳴りが生じることがあります。耳垢を除去することで耳鳴りが軽減することがありますが、耳鳴りには複数の原因が重なる場合もあるため、気になる場合はそのままにせず受診されることをおすすめします。

耳のかゆみ・違和感

蓄積した耳垢が外耳道の皮膚を圧迫したり、耳垢に細菌が繁殖したりすることで、かゆみ・じんわりとした痛み・異物感が生じることがあります。「耳の中がなんとなくかゆい」というお子様の訴えが、耳垢栓塞のサインであることも少なくありません。かゆみや痛みが強い場合は、外耳炎を併発している可能性がありますので、早めに耳鼻咽喉科を受診されることをおすすめします。

耳垢栓塞が起こりやすい原因

綿棒・耳かきによる耳垢の奥への押し込み

耳垢栓塞の原因として最も多くご相談いただくのが、誤った耳掃除の習慣です。綿棒を耳の奥まで差し込むと、自浄作用で外側へ移動しようとしていた耳垢を逆方向に押し込んでしまうことがあります。「きれいにしているつもりが、実は奥に詰め込んでいた」という状況は非常によくある誤解です。外耳道の入り口付近を拭く程度に留め、奥への挿入は避けることが大切です。

耳垢の性質(湿性耳垢)

耳垢は「カサカサした乾性耳垢」と「ねっとりした湿性耳垢」の2タイプに分かれます。日本人には乾性耳垢が多いとされていますが、湿性耳垢は外耳道の壁面に付着しやすく、自浄作用だけでは外に出にくい特性があります。湿性耳垢の方は、定期的に耳鼻咽喉科で耳の状態を確認することをおすすめします。

外耳道の形・加齢による変化

生まれつき外耳道が狭い方や、外耳道が大きく曲がっている方は、自浄作用がうまく機能しにくく、耳垢がたまりやすい傾向があります。また、加齢とともに外耳道の皮膚の新陳代謝が落ちると自浄作用が低下し、耳垢が硬くなって蓄積しやすくなることがあります。ご高齢の方が「最近、耳が聞こえにくくなった」と感じる背景に、耳垢栓塞が関係していることも少なくありません。

補聴器・イヤホンの長時間使用

補聴器やカナル型イヤホンを長時間使用していると、外耳道の換気が妨げられ、耳垢が自然に外へ出にくくなることがあります。補聴器をお使いの方は、補聴器の性能を保つためにも、定期的な耳垢チェックを耳鼻咽喉科で受けることをおすすめします。

お子様の耳垢が気になる親御さんへ

「子供の耳の中が黒くなっている」「耳を頻繁に触っている」「片方の耳だけ聞こえにくそうにしている」——こうしたお子様の様子を心配されて来院される親御さんは、当院でも非常に多くいらっしゃいます。

お子様の外耳道は大人と比べて細く短いため、耳垢がたまりやすい構造をしています。さらに幼いお子様はじっとしていられないことも多く、ご自宅での耳掃除が難しいと感じる場面もあるかと思います。「うまく見えないのに、無理に取ろうとして傷つけてしまわないか心配」というお気持ちは、ごく自然なものです。

ご家庭での耳掃除は、外耳道の入り口付近に見えている耳垢を柔らかいガーゼや綿棒でそっと拭き取る程度で十分です。奥の耳垢はぜひ耳鼻咽喉科にお任せください。適切な器具と照明のもとで行う専門的な処置は、ご自宅での対処よりも安全で確実です。

次のようなお子様は、定期的な耳垢チェックをおすすめします。

  • 以前に耳垢栓塞と診断されたことがある
  • 補聴器やイヤーモールドを使用している
  • 「耳がおかしい」「片方の音が小さい」とよく訴える
  • テレビの音量が以前より大きくなった、呼んでも振り向かないことが増えた
  • プールや入浴後に耳の調子が悪くなることが多い
  • 保育園・幼稚園・学校の聴力健診で再検査を勧められた

お子様が耳をひっぱる・頭を傾けて音を聞こうとする・耳を指で塞いで遊ぶような仕草を繰り返している場合も、耳垢栓塞による聞こえにくさのサインである可能性があります。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

耳垢栓塞の治療

耳垢栓塞の治療は、耳鼻咽喉科での耳垢除去です。耳垢の状態(乾燥しているか、軟らかいか、量や位置など)と患者様の状況に合わせて、以下の方法から適切なものを選択します。

鉗子・吸引による除去

最も一般的な方法です。耳鏡または内視鏡で外耳道の状態を確認しながら、専用の鉗子(ピンセット状の器具)や吸引管を使って、安全かつ丁寧に耳垢を取り除きます。乾燥した耳垢に適していることが多く、多くの場合は短時間で処置が完了します。

軟化剤(点耳薬)の使用

耳垢が外耳道にしっかりと固着していて鉗子では除去しにくい場合は、耳垢を軟らかくする点耳薬(軟化剤)を一定時間使用してからゆっくりと除去する方法をとることがあります。状態によっては複数回の受診が必要になることがあります。

外耳道洗浄

体温に近い温度のぬるま湯を使って外耳道を洗い流す方法です。ただし、鼓膜に穴が開いている方(鼓膜穿孔)や、過去に鼓膜の手術を受けた方には行えない場合がありますので、事前に鼓膜の状態を確認してから実施します。

処置後は内視鏡で外耳道と鼓膜の状態を確認します。耳垢除去のついでに外耳炎や滲出性中耳炎などが発見されるケースもあり、その場合はそれぞれに応じた治療もあわせてご提案します。

なお、耳垢栓塞と診断された場合の耳垢除去は健康保険の適用対象となります。「耳掃除だけで受診するのは申し訳ない」とためらわれている方も、どうぞ安心してご来院ください。

よくあるご質問

外耳道の入り口付近に見えている耳垢を、柔らかい綿棒で優しく拭き取る程度であれば大きな問題はないとされています。ただし、耳の奥まで綿棒を差し込むことは避けてください。耳垢をかえって奥に押し込んでしまうことがあるほか、外耳道の皮膚を傷つけて外耳炎を起こすことがあります。「奥の耳垢が気になる」「取ろうとしたら嫌がって難しい」という場合は、無理にご家庭で対処しようとせず、耳鼻咽喉科にご相談ください。お子様が保育園・幼稚園の聴力健診で再検査を勧められた場合も、まず耳垢栓塞がないかどうかを確認することが大切です。
耳垢栓塞によって外耳道がふさがれていた場合、耳垢を除去することで聴力が改善することがあります。「取ってもらったら、急にはっきり聞こえるようになった」というお声をいただくことはよくあります。ただし、聞こえにくさの原因は耳垢栓塞だけとは限りません。滲出性中耳炎・突発性難聴・加齢性難聴など、他の疾患が重なっている場合もあります。耳垢の除去と合わせて聴力検査を行い、原因をしっかり確認することが重要です。「耳垢を取ったのにまだ聞こえにくい」という場合も、そのままにせずご受診ください。
個人差がありますが、数ヶ月に1度を目安に、気になったときにご来院いただく方が多くいらっしゃいます。湿性耳垢の方・補聴器をお使いの方・外耳道が生まれつき細い方・過去に耳垢栓塞になったことがある方は、よりこまめな確認をおすすめすることがあります。お子様の場合も、定期的に耳の状態をみていただくことで、聞こえの変化に早めに気づくことができます。「自分に合ったペースを知りたい」という方は、診察時にお気軽にご質問ください。
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