急性喉頭炎・喉頭蓋炎
こんなお悩みはありませんか?
- 声がかれてきた、声がほとんど出なくなった
- 喉の奥が痛くて、唾を飲み込むのもつらい
- 風邪をひいてから声のかすれが1週間以上続いている
- 子供がイヌが吠えるような「ケンケン」という咳をしている
- 子供が夜中に急に呼吸が苦しそうになった
- 喉のあたりが腫れていて、ものを飲み込みにくい
- 声を使う仕事なのに、声がかれて仕事に支障が出ている
- 「喉頭蓋炎かもしれない」と言われて、どんな病気か不安
声のかすれや喉の奥の痛みは、休めば治ると思われがちです。ただし、喉頭蓋炎は気道がふさがれるリスクのある緊急性の高い疾患です。「声がかれる」「喉の奥が急に痛くなった」「息が苦しい」という症状が重なる場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診されることをおすすめします。
急性喉頭炎・喉頭蓋炎とは
急性喉頭炎とは
急性喉頭炎(きゅうせいこうとうえん)とは、喉の奥にある「喉頭(こうとう)」に急性の炎症が起きた状態です。喉頭は食べ物と空気の通り道が分かれる場所に位置し、声を出すための「声帯(せいたい)」もここにあります。喉頭に炎症が生じると、声帯が腫れて声がかれたり、喉の痛みや咳が出たりします。
声のかすれ(嗄声:させい)は急性喉頭炎の最も特徴的な症状です。「風邪をひいてから声が出なくなった」「声を使いすぎたら喉が痛くなって声がかれた」という形で発症することが多く、教師・接客業・歌手など、声をよく使う職業の方に起こりやすい傾向があります。
多くの場合は適切な治療と声の安静によって1〜2週間程度で改善することがありますが、声のかすれが3週間以上続く場合は、声帯ポリープ・声帯結節・まれに喉頭がんなどの可能性もあるため、早めに耳鼻咽喉科を受診されることをおすすめします。

喉頭蓋炎とは
喉頭蓋炎(こうとうがいえん)とは、喉頭の入り口にある「喉頭蓋(こうとうがい)」と呼ばれる軟骨に覆われたフタ状の組織に炎症が起きた状態です。喉頭蓋は食べ物を飲み込むときに気道の入り口を覆い、食べ物が気管に入らないようにする役割を担っています。
この喉頭蓋が細菌感染などにより急激に腫れると、気道がふさがれて呼吸困難に陥ることがあります。「急に喉の奥が激しく痛くなった」「唾も飲み込めないほど痛い」「口を開けても喉の奥が見えにくい」「息苦しさを感じる」という場合は、喉頭蓋炎の可能性があり、緊急の対応が必要なことがあります。
喉頭蓋炎は成人に多い疾患ですが、お子様にも起こることがあります。特に乳幼児は喉頭が狭いため、腫れが急速に気道閉塞に発展するリスクが高いとされています。「子供が急に喉の奥を痛がって、ものが飲み込めない」「声がこもって苦しそう」という場合は、すぐに医療機関を受診されることをおすすめします。
当院では、喉頭蓋炎が疑われる場合は速やかに状態を評価し、入院管理が必要と判断される場合は緊急で専門医療機関へのご紹介を行います。
急性喉頭炎・喉頭蓋炎の主な症状
声のかすれ(嗄声)
急性喉頭炎の最も代表的な症状が声のかすれです。「声が出にくい」「声がガラガラになった」「話すと喉が痛い」といった訴えが多く見られます。炎症によって声帯が腫れると、振動のしかたが変わり、声質が変化します。ひどい場合には声がほぼ出なくなることもあります。
喉の痛み・異物感
喉頭の粘膜が炎症を起こすことで、喉の奥に痛みや違和感が生じます。「唾を飲み込むと痛い」「何かが引っかかっているような感じがする」という訴えがよく見られます。喉頭蓋炎では「唾も飲み込めないほど喉の奥が激しく痛い」という強い嚥下痛が現れることがあります。
咳・犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)
急性喉頭炎では、乾いた咳や痰がからんだ咳が出ることがあります。特にお子様の場合、「ケンケン」「コンコン」というイヌが吠えるような独特の咳(犬吠様咳嗽)が出ることがあります。これはクループ症候群と呼ばれる状態で、喉頭の腫れによって気道が狭くなるために起こります。夜間に悪化しやすい傾向があるため、「子供が夜中に急にケンケンという咳をし始めた」という場合は早めに受診されることをおすすめします。
発熱・全身倦怠感
ウイルスや細菌感染が原因の場合、発熱や倦怠感を伴うことがあります。喉頭蓋炎では急激な高熱が出ることがあり、「突然の高熱と喉の激痛」という経過は喉頭蓋炎を疑うサインのひとつです。
呼吸困難・喘鳴(ぜんめい)
喉頭蓋炎やクループ症候群で喉頭の腫れが強くなると、息を吸うときに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という音(喘鳴)が聞こえたり、呼吸が苦しくなったりすることがあります。これは緊急性のある症状です。唇や爪の色が紫色になる(チアノーゼ)場合は、すぐに救急を受診してください。
急性喉頭炎・喉頭蓋炎の主な原因
ウイルス感染
急性喉頭炎の原因として最も多いのがウイルス感染です。インフルエンザウイルス・パラインフルエンザウイルス・アデノウイルス・RSウイルスなどが代表的です。クループ症候群はパラインフルエンザウイルスが原因となることが多く、乳幼児に好発します。
細菌感染
喉頭蓋炎の主な原因細菌として、インフルエンザ菌b型(Hib)が知られています。近年はHibワクチンの普及によって小児の喉頭蓋炎は減少傾向にありますが、成人での発症は依然として報告されています。溶連菌や肺炎球菌なども喉頭炎・喉頭蓋炎の原因となることがあります。
声の酷使・物理的刺激
大声を出し続けたり、長時間話し続けたりすることで声帯や喉頭の粘膜に負担がかかり、炎症が生じることがあります。乾燥した空気・たばこ・アルコール・辛い食べ物なども喉頭の粘膜に刺激を与え、炎症を起こしやすくする要因となることがあります。教師・保育士・営業職・歌手など声をよく使う職業の方は特に注意が必要です。
胃食道逆流症
胃酸が食道・喉頭まで逆流する「胃食道逆流症(逆流性食道炎)」が喉頭の慢性的な炎症を引き起こすことがあります。「朝起きると声がかれる」「食後に喉に酸っぱいものが上がってくる感じがする」という方は、逆流性食道炎が喉の症状の背景にある可能性があります。
子供の急性喉頭炎・クループ症候群について
「子供が夜中に急にケンケンという変な咳をし始めた」「声が出にくそうにしている」「息を吸うときにヒューという音がする」——こうした親御さんからのご相談を当院でもいただくことがあります。
お子様の急性喉頭炎で特に多い病態が「クループ症候群」です。主に生後6ヶ月〜3歳のお子様に多く、パラインフルエンザウイルスなどの感染をきっかけに喉頭が腫れて気道が狭くなることで、特徴的な犬吠様咳嗽(ケンケンとした咳)と吸気性喘鳴(息を吸うときのヒュー音)が現れます。
クループ症候群は夜間に症状が悪化することが多く、親御さんが深夜に気づいて慌てて受診されるケースが多い疾患です。以下のような症状があれば、夜間であっても救急受診を検討されることをおすすめします。
- 息を吸うたびにヒューヒューという音がして苦しそう
- 唇や爪の色が青っぽくなっている(チアノーゼ)
- ぐったりして反応が鈍い ・よだれが止まらず、うつむきがちにしている(喉頭蓋炎のサイン)
一方、犬吠様咳嗽があっても呼吸の苦しさがなく、水分がとれていてある程度元気がある場合は、翌朝の受診でも対応できることがあります。判断に迷う場合は、小児救急電話相談(#8000)にご相談ください。
また、お子様の喉頭蓋炎は進行が速く、短時間で呼吸困難に至ることがあるため、「急に喉の奥を激しく痛がる」「唾を飲み込めずよだれが多い」「声がこもっている」という場合は、症状が軽くても早めに耳鼻咽喉科を受診されることをおすすめします。
急性喉頭炎・喉頭蓋炎の治療
治療の効果には個人差があります。以下はあくまで一般的な治療の流れです。
声の安静
急性喉頭炎の治療において最も基本となるのが「声の安静」です。声帯を休ませることで炎症の回復を助けることがあります。やむを得ず話す場合は、大声や囁き声(ひそひそ声)はいずれも声帯に負担をかけるため避け、普通の声でできるだけ短く話すことが望ましいとされています。
薬物療法
炎症を抑えるために、ステロイドの吸入薬・内服薬が使用されることがあります。細菌感染が疑われる場合は抗菌薬が処方されることがあります。喉の乾燥や痛みをやわらげる目的で、うがい薬・鎮咳薬・去痰薬なども使用されることがあります。クループ症候群のお子様には、ステロイド薬(内服または吸入)が症状の改善に役立つことがあります。
ネブライザー療法
院内でのネブライザー(吸入器)による薬剤吸入を行うことがあります。喉頭の粘膜に直接薬剤を届け、腫れや炎症をやわらげる目的で使用します。
専門医療機関への緊急紹介
喉頭蓋炎が疑われる場合や、クループ症候群で呼吸困難が著しい場合は、入院による気道管理が必要なことがあります。当院では速やかに状態を評価し、緊急の対応が必要と判断された場合は、連携する専門医療機関へ迅速にご紹介します。
生活上の注意点
- 声の安静を保ち、なるべく声を使わない期間を設ける
- 室内を加湿して喉の乾燥を防ぐ(湿度50〜60%を目安に)
- こまめな水分補給を行う
- たばこ・アルコール・辛い食べ物など喉への刺激を避ける
- 十分な睡眠と休息をとり、免疫力の回復を助ける
- 症状が改善しても、声のかすれが3週間以上続く場合は再受診する
よくあるご質問
- お子様の「ケンケン」「コンコン」というイヌが吠えるような咳は、クループ症候群に特徴的な犬吠様咳嗽と呼ばれるものです。息を吸うときにヒューヒューという音がする・唇や爪が青っぽくなっている・ぐったりしているといった場合は、気道が狭くなっている可能性があるため、夜間でも救急を受診されることをおすすめします。一方、咳はあっても水分がとれていてある程度元気にしている場合は、翌朝の受診でも対応できることがあります。判断に迷う場合は小児救急電話相談(#8000)にご相談ください。症状が落ち着いてからでも、原因の確認と再発予防のために耳鼻咽喉科への受診をおすすめします。
- 急性喉頭炎による声のかすれは、声の安静と適切な治療によって多くの場合1〜2週間程度で改善することがありますが、3週間以上続く場合は声帯ポリープ・声帯結節・まれに喉頭腫瘍などの可能性もあるため、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。耳鼻咽喉科では喉頭内視鏡(ファイバースコープ)を使って声帯の状態を直接確認することができます。「声がかれているだけだから」と放置せず、2週間以上声のかすれが続く場合は一度ご相談ください。
- 喉頭蓋炎は「急激に始まった強い喉の奥の痛み」「唾も飲み込めない」「声がこもっている」「高熱が突然出た」「よだれが止まらずうつむきがち」といった症状が組み合わさって現れることがあります。特に息苦しさや呼吸時の異音(ヒューヒューという音)を伴う場合は、気道閉塞のリスクがあるため緊急性が高い疾患のひとつです。「喉が急に激しく痛くなって、ものが飲み込めない」と感じたら、自己判断で様子をみることなく、速やかに耳鼻咽喉科または救急を受診されることをおすすめします。
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