おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)

こんなお悩みはありませんか?

  • 子供の耳の下や頬がぷっくり腫れてきた。おたふくかぜか心配
  • 子供が発熱して、顎の下から首にかけて腫れている
  • 保育園・幼稚園でおたふくかぜが流行っている。うつっていないか確認したい
  • おたふくかぜにかかった場合、いつから登園・登校できるのか知りたい
  • ワクチンを打っていたのに、おたふくかぜになってしまった
  • 子供がおたふくかぜになった。難聴などの合併症が心配
  • 大人がおたふくかぜにかかった場合、子供より重症化すると聞いた
  • おたふくかぜと耳下腺炎の違いがよくわからない

おたふくかぜは「子供が一度かかる病気」というイメージがありますが、合併症として難聴や髄膜炎を引き起こすことがある疾患です。特にムンプス難聴は回復が難しいとされており、早期発見と適切な対応が重要です。症状が気になる場合は耳鼻咽喉科へお気軽にご相談ください。

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)とは

おたふくかぜは、ムンプスウイルスの感染によって引き起こされる急性ウイルス感染症で、正式名称を「流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)」といいます。耳の前から下にかけて位置する「耳下腺(じかせん)」と呼ばれる唾液腺が腫れることで、顔がふっくらと丸くなる特徴的な見た目から「おたふくかぜ」と呼ばれるようになりました。

ムンプスウイルスは感染力が強く、飛沫感染(くしゃみ・咳・会話による飛沫)や接触感染によって広がります。保育園・幼稚園・小学校などの集団生活の場で感染が拡大しやすく、春から夏にかけて流行することが多いとされています。

おたふくかぜは一般的にお子様に多い感染症ですが、大人が感染した場合は症状が重くなりやすく、精巣炎・卵巣炎・膵炎などの合併症を起こすリスクが高まるとされています。また、おたふくかぜの最も深刻な合併症のひとつが「ムンプス難聴」です。ムンプス難聴は一側性(片耳)の高度難聴として現れることが多く、回復が非常に難しいとされています。難聴はおたふくかぜの腫れが治まった後に気づかれることもあるため、罹患後は耳の聞こえの変化に注意が必要です。

当院では、耳下腺の腫れ・耳の痛み・発熱などの症状の診察とあわせて、ムンプス難聴の早期発見のための聴力確認も行っています。「子供の顔が腫れている」「おたふくかぜかもしれない」という場合は、まずご相談ください。

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の主な症状

耳下腺の腫れ・痛み

おたふくかぜの最も特徴的な症状が、耳の前から下・顎の下にかけての耳下腺の腫れです。多くの場合は両側に腫れが生じますが、片側だけに現れることもあります。腫れは触ると痛みがあり、食べ物を噛んだり唾液が出たりするときに痛みが増すことがあります。「耳の下がぷっくり腫れて、噛むと痛い」という訴えが典型的です。

腫れは発症から1〜3日でピークを迎え、その後1〜2週間程度でゆっくりと引いていくことが多いとされています。

発熱

耳下腺の腫れとともに、38℃前後の発熱を伴うことがあります。発熱は腫れが現れる1〜2日前から始まることがあります。高熱が続く場合や、解熱後に再び発熱する場合は合併症の可能性がありますので注意が必要です。

倦怠感・頭痛・食欲低下

発熱や耳下腺の腫れに伴い、体のだるさ・頭痛・食欲の低下が見られることがあります。口を大きく開けたり噛んだりするときの痛みから、食事をとりにくくなることがあります。特にお子様は水分や食事がとりにくくなることがありますので、脱水に注意が必要です。

不顕性感染(症状が出ない感染)

ムンプスウイルスに感染しても、約3分の1の方は症状が現れない「不顕性感染(ふけんせいかんせん)」のまま経過することがあるとされています。症状がなくても感染している場合があり、他の人にうつすことがあるため、流行期には注意が必要です。

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の合併症

おたふくかぜは「子供がかかる軽い病気」と思われることがありますが、以下のような合併症を引き起こすことがあります。

ムンプス難聴(最も注意が必要な合併症)

おたふくかぜ感染後に起こる一側性の高度感音難聴を「ムンプス難聴」といいます。突然片耳の聴力がほぼ完全に失われることがあり、一般的な突発性難聴とは異なり回復が非常に難しいとされています。難聴の頻度は約1,000人に1人程度とされていますが、回復しにくい後遺症として残ることがあるため、おたふくかぜの合併症の中でも特に重視されています。

「おたふくかぜが治った後から耳が聞こえにくくなった」「片方の耳に違和感がある」という場合は、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診されることをおすすめします。早期に気づくことが、残存する聴力を守るうえでも重要です。

無菌性髄膜炎

おたふくかぜに伴う合併症として比較的多いのが無菌性髄膜炎です。頭痛・嘔吐・首の硬直などの症状が現れることがあります。多くの場合は後遺症なく回復しますが、症状が強い場合は入院管理が必要なことがあります。「おたふくかぜの最中に頭痛や嘔吐が続く」という場合は早めに受診されることをおすすめします。

精巣炎・卵巣炎

思春期以降の男性がおたふくかぜにかかった場合、精巣炎(せいそうえん)を合併することがあります。精巣の腫れ・痛み・発熱が現れ、まれに不妊の原因となることがあるとされています。女性では卵巣炎を合併することがありますが、男性の精巣炎ほど頻度は高くないとされています。

膵炎

ムンプスウイルスが膵臓に炎症を起こすことがあります。上腹部の痛み・嘔吐・発熱が主な症状です。多くの場合は軽度で回復しますが、症状が強い場合は専門医療機関での対応が必要なことがあります。

子供のおたふくかぜ・親御さんが知っておきたいこと

「子供の顔が腫れていて、おたふくかぜかもしれない」「保育園でおたふくかぜが流行っていると連絡が来た」——こうした親御さんからのご相談を当院でもよくいただきます。

お子様のおたふくかぜで特に知っておいていただきたいポイントをまとめます。

  • 耳の下・頬・顎の下が腫れている場合、おたふくかぜのほかにも反応性リンパ節炎・耳下腺炎(細菌性)・おたふくかぜ以外のウイルスによる耳下腺炎などが考えられます。自己判断せず、耳鼻咽喉科または小児科での診察をおすすめします
  • おたふくかぜは学校保健安全法により出席停止の感染症に指定されています。「耳下腺・顎下腺・舌下腺の腫れが現れた日から5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで」が出席停止の基準とされています。登園・登校の再開については医師の判断に従ってください
  • おたふくかぜが治った後も、耳の聞こえの変化に注意してください。お子様は「聞こえにくい」とうまく伝えられないことがあります。「テレビの音量が大きくなった」「呼んでも振り向かないことが増えた」「片方の耳をふさぐと聞こえが悪そうにしている」といった変化に気づいた場合は、耳鼻咽喉科で聴力検査を受けられることをおすすめします
  • ワクチンを接種していても、まれにおたふくかぜにかかることがあります(ブレイクスルー感染)。ただし、ワクチン接種により症状が軽くなることや、ムンプス難聴などの重篤な合併症のリスクを下げることが期待されるとされています

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の治療

おたふくかぜはウイルス感染症のため、ウイルスそのものを直接退治する特効薬はありません。治療は症状をやわらげる「対症療法」が中心となります。治療の効果には個人差があります。

安静・水分補給

十分な安静と水分補給が回復を助けます。耳下腺の腫れと痛みから食事がとりにくくなることがありますので、刺激の少ない柔らかい食べ物・流動食・ゼリーなど口当たりのよいものを選ぶことをおすすめします。酸味の強い食べ物(梅干し・柑橘類・酢の物など)は唾液の分泌を促し、耳下腺の痛みを強めることがあるため避けることをおすすめします。

解熱鎮痛薬

発熱や耳下腺の痛みに対して、解熱鎮痛薬が使用されることがあります。お子様へのアスピリン系解熱剤はライ症候群のリスクから避けるべきとされており、アセトアミノフェン系の薬剤が推奨されています。服用前に必ず医師・薬剤師にご相談ください。

合併症への対応

ムンプス難聴が疑われる場合は、速やかに聴力検査を行い、必要に応じて専門医療機関へご紹介します。無菌性髄膜炎・精巣炎・膵炎などの合併症が疑われる場合も、重症度に応じて専門医療機関へのご紹介を行います。

予防──ワクチン接種

おたふくかぜの最も有効な予防策はワクチン接種です。日本ではMRワクチン(麻疹・風疹混合)とは別に、ムンプスワクチン単体での接種が任意接種として行われています。標準的には1歳と小学校入学前の2回接種が推奨されています。

ワクチンの接種でムンプス難聴などの重篤な合併症を防ぐことができる可能性があるとされています。「まだワクチンを打っていない」「2回目の接種を忘れていた」という場合は、ぜひご相談ください。

生活上の注意点

  • 登園・登校を控え、安静を保って回復に専念する
  • マスクの着用
  • 手洗いで家族への感染拡大を防ぐ
  • タオル・食器・コップなどの共用を避ける
  • 酸味の強い食べ物・硬い食べ物など耳下腺を刺激するものを避ける
  • 回復後も体力が戻るまで無理をしない
  • 耳の聞こえの変化に気づいたら速やかに耳鼻咽喉科を受診する

よくあるご質問

耳の下や頬・顎の下の腫れが気になる場合は、耳鼻咽喉科または小児科を受診されることをおすすめします。耳鼻咽喉科では耳下腺・顎下腺などの腫れを直接確認でき、おたふくかぜのほかに反応性リンパ節炎・細菌性耳下腺炎など、似た症状を起こす疾患との鑑別も行うことができます。また、おたふくかぜの合併症として問題となるムンプス難聴の確認・聴力検査も耳鼻咽喉科で行えます。「おたふくかぜかもしれない」「顔の腫れが気になる」という場合は、お気軽にご相談ください。
学校保健安全法では、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は「耳下腺・顎下腺・舌下腺の腫れが現れた日から5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで」出席停止とすることが定められています。腫れが引いていても5日間は登園・登校できないことになりますのでご注意ください。なお、腫れが完全に引いていなくても5日を経過して全身状態が良好であれば登園・登校可能とされていますが、施設によってルールが異なることがありますので、通われている保育園・幼稚園・学校にご確認ください。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の合併症として「ムンプス難聴」が起こることがあります。ムンプス難聴は片耳に突然高度の難聴が生じるもので、一般的な突発性難聴と異なり回復が非常に難しいとされています。おたふくかぜの腫れが引いた後に「片耳が聞こえにくい」「テレビの音量が大きくなった」「呼んでも振り向かない」といった変化に気づいた場合は、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診されることをおすすめします。お子様は聞こえにくさをうまく伝えられないことがありますので、おたふくかぜにかかった後は耳の聞こえの変化に特に注意して観察していただくことが大切です。
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